こんにちは、よだきっけです。
血小板凝集は血清検体の溶血と違い、見た目では全くわかりません。だからこそ検査値を報告する臨床検査技師が血小板凝集を疑うような検体を根気強く鏡検し調べることが重要です。
血小板凝集を見極める方法をよだきっけの経験からお伝えしようと思います。
参考になれば嬉しいです。
血小板凝集について
EDTA血小板凝集による偽低値(EDP)とは。 血算用の採血管の抗凝固剤であるEDTA-2K(2Na)と血小板が反応してしまい採血管内で血小板が凝集を起こしてしまう現象です。
原因不明です…1000人に2・3名とも言われています。
血小板凝集の証明方法。
血液塗抹標本で血小板凝集の有無を確認します。
大きな凝集の場合は、引き終わりを観察するだけで判別可能です。
しかし小さな凝集の場合には注意が必要です。
塗抹標本の引き終わりには血小板凝集が認められず、
白血球分画を算出するための、赤血球の重なりが50%前後の箇所でしか見られない場合もあります。
血小板凝集のスピード。
血小板凝集のスピードは、症例によって様々なパターンがあります。
- 即時に凝集する。
- ゆっくりと凝集する。
- 凝集してから解離する。
2と3に対応するために血算測定後すぐに血液塗抹標本を作成しなければ、血小板数と血液塗抹標本の血小板凝集に相違が生じてしまいます。
血小板凝集違う検体の場合には、血算測定後すぐに血液塗抹標本を作成することを心がけましょう。
血小板凝集する症例で血小板数の真値を報告するための対処法。
EDTA でない抗凝固剤の採血管を使用している施設が多いんじゃないでしょうか。
よだきっけの施設では、
血算用採血管加え、凝固採血管で検査を実施しています。
凝固採血管であるクエン酸ナトリウムは、液状の抗凝固剤のため補正する必要が望ましいでしょう。
他の採血管では、下記がありますがそれぞれ注意点があります 。
- ヘパリン採血管。
血小板凝集を防げるかもしれませんが、鏡検法による白血球分画には不適です。 - 血糖用採血管。
フッ化ナトリウムとEDTA が含まれているメーカーでは、EDTAが含まれているため血算用の採血管と差別化できない場合があります。
カナマイシン添加によって血小板凝集が解離する話もあるようですが…
測定機器メーカーによっては偽高値を示すそうです。
メーカーに問い合わせてみてください。
疑問点。
血小板凝集の証明方法は血液塗抹標本の観察しか知りません。
しかし血液塗抹標本引く時に圧力などの負荷がかかると思っています。このため
- 採血管内では血小板凝集していても
- 血液塗抹標本では凝集していない
症例もありうるかも?と考えています。
上記を考えつつも、
血算を測定する機器では、検体が希釈されるので血小板凝集がほどける可能性もありうるかも?と考えています。
が、
よだきっけの経験上、採血管内のみで凝集する症例には出会っていません。
加えて
血液塗沫標本で血小板凝集は、必ず発見できる
の思いの根拠になっている、下記の症例を経験しています。
経験発見しづらかった症例。
血小板の測定値が90✕103/μLほどで、白血球分画をカウントするような場所で2、3個程度の凝集があり散在し、クエン酸ナトリウム採血管に分注した検体で測定すると130✕103/μLはどに是正される症例に出会ったこともあります。
正直、
疑問点の症例と出会う可能性は限りなく低いと思ってはいます。
最後に。
血清・血漿の溶血検体とは違い血小板凝集は外観では気づくことができません。
だからこそ臨床検査技師の腕の見せ所です。
血小板凝集の対象として確認を行う検体数は少なく、実際に血小板凝集が起きている検体はまれにしかありません。
何の目的で検査を行っているか?
ここに立ち返れば、検体検査の役割は正確で精密な検査値を臨床に報告すること。
面倒くさかった時に限って、血小板凝集をしているかもしれませんよ。
根気強く鏡検しましょう。
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