尿沈渣の初期の鏡検技術を習得するためのプロセスについて解説します。よだきっけが考える以下の段階を踏むことで、効果的に技術を身に付けることができると思います。
◆目次◆
1. 教本での学習
初めは、尿沈渣検査法2010で
日常でよく鏡検する成分の特徴を覚えましょう。
他の内容は、余程余裕がある人を除き覚えなくてもいいです。
日常で、よく鏡検する成分とは
2. 特徴の記憶とリンク
次に、教本で学んだ特徴と実際に顕微鏡で観察し、
頭で覚えた言葉と目で見たている特徴をリンクさせます。
教本で覚えた特徴を思い出しながら、鏡検を繰り返すことが必要です。
日常でよく鏡検する成分は教本をみなくても鑑別できるようにしましょう。理論と実際を結びつけます。
イメージをリンクとは???
3. 染色の使用
初めのうちは、上皮細胞などの特定の沈渣成分を判断するために染色を利用しましょう。また、初級のうちに業務を行う際は、染色でのカウントしょうがないでしょう。理由としては、
- 円柱の見落とし防止
- 鑑別しづらい成分の振り分け
- 悪性を疑う細胞細胞をより明確に認識する
場合などに役立つからです。
しかし、染色液が入る分、希釈されていることも忘れてはいけません。そのため基準値のある赤血球と白血球は染色でのカウントはすべきではないでしょう。なぜなら染色標本では、
ためです。
染色も合わせて日常成分の鏡検ができれば、次の段階に進みましょう。
悪性を疑う細胞とは?
悪性を疑う細胞だが染色が薄い気がする対処。
異型細胞とは?
4.強拡大と弱拡大のリンク
この技術の習得が初期レベルから次の段階に上がるためには特に必要です!!!
対物レンズ×40での強拡大と×10での弱拡大での成分の見え方をリンクさせる訓練をします。
初級のあなたは、弱拡大で何を意識していますか?尿沈渣では
弱拡大にて全視野を鏡検する
2010尿沈渣検査法のp3の3.1を参照下さい。
ことになっています。
この弱拡大で鏡検する際に、標本内の成分の偏りや円柱などの確認だけでなく、
出現している成分のほとんどを把握
できば結果の精度高くなることはもちろん、大幅なスピードアップに繋がります。
精度を担保しスピードアップさせるためには、
強拡大と弱拡大のリンクさせる地道な作業の繰り返しが必要
実際には、強拡大で鑑別できる成分を弱拡大で再確認を繰り返し、両方の倍率で鏡検をリンクさせましょう。
5. 弱拡大にて脂肪円柱を認識
強拡大と弱拡大のリンクの最終目標として
円柱内の脂肪顆粒を認識でき
それに基づいて脂肪円柱を判断できるようにします。
同サイズ感の細菌などの成分は他にありますが、脂肪顆粒を認識できることが最終目標の理由は、
- 細菌やリン酸塩などは、均一に標本に出現するため把握しやす過ぎる
- ヘモジデリンやマルベリー小体は出現頻度が極めて低い
上記に比較し脂肪顆粒は、
- 出現す検体でも、均一にはでない→弱拡大で発見できる訓練になる
- 比較的、出現しやすい成分
脂肪顆粒を封入している円柱を弱拡大かつルーチンで行うスピードで発見できる技術の習得は難易度が高いですが、これができれば弱拡大と強拡大のリンク技術は、ほぼ習得できたといえます。
6. 無染色での判断
徐々に、染色を使用せずに上皮細胞や他の構造物を識別できるように練習します。これにより、観察力が向上し、細胞の特徴を正確に捉える能力が高まります。
7. 初級レベルの次の段階へ
- まれな成分の知識を持つ。
- 尿検査について指導ができる。
- 出現成分の意義を意識しながら鏡検できる。
- 変性を意識して鑑別できる。
- 認定一般検査技師の取得を目指す。
などでしょうか?
尿沈渣にオススメの教本。
以上の段階が。よだきっけの考える
尿沈渣の鏡検技術を効率よく習得する方法
です。
沈渣研修や業務で大事なことは、
精度を保ちながら、スピードアップ
です。患者さんの不利益にならないように研修や研鑽を積むことです。
参考の一つになれば幸いです!
スポンサーリンク